ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第18回 井の頭自然文化園 「ニホンアナグマさんのハズバンダリートレーニング」その2♪
こちらのニホンアナグマさんのハズトレは、獣医さんと相談の結果、「採血」を当面の目標としています。
後ろ足からの採血を想定して、「4本足で立った状態でじっとしている」「後ろ足を触られることに動じない」という練習中です。
写真は、棒で後ろ足に触ることで「後ろ足への刺激」に慣れるトレーニングをしている様子です。
棒で触られることに慣れたら、尖ったものでつつく刺激に慣れるトレーニングに移行します。
このように一段階ずつ刺激を変えていき、最終的に注射針を刺して採血しても、ニホンアナグマさんがへっちゃらでいられるようにします。
時間をかけて動物に「こうするけど、大丈夫なんだよ」と理解してもらったり慣れてもらうのです。その上で、飼育員さんが行いたいケアをさせてもらうという、動物本位の素敵なトレーニングです♪
どうですこの真剣なまなざし♡自分の意思で参加しているからこそ、かもしれません♪ハズトレをするかしないかは、動物が決められるのです♪
そしてその動物ごとに得手不得手があり、例えばこのニホンアナグマさんは左足を触られるのが得意ではないそうです。そういう場合はますます少しずつ積み重ねていきます。
そうでなくとも動物が「ハズトレ=イヤなこと」と感じないよう、細心の注意を払います。
ニホンアナグマさんならではのハズトレの工夫必須ポイントもあります。
①視力があまりよくないので、ごほうびを渡した時に、探してしまって気が散る。案としては、道具を使って(犬歯が鋭いので手渡しはできません)、スッと渡す工夫が有効かもしれません。
こうしたアイデアを現場で皆で出し合うのもまた非常に楽しく、ハズトレのいいところです♪
②結構ちょこちょこ動く生態である上に、食べ物をもらうと自分だけの場所で満喫しようと移動してしまう(丸太の後ろにいます)。
これに関しては、同じように小動物のハズトレを実践している飼育員さんにアドバイスを頂けるようにしました♪
ハズトレは、キリンさんやクマさんやライオンさんなど、大きな動物でまずは広まったので、小動物での取り組みは先駆的でもあるのです。
ニホンアナグマさんならではの工夫ポイントもありますが、食べ終わると「続きをやりますよ~」と戻ってくるところがうれしいですね。
飼育員さんの森さんが、このニホンアナグマさんにハズトレを「楽しいこと」として伝えられている成果です♪
そしてまた「吻(ふん)タッチ」から♪ハズトレは、本当に地道な行動形成の積み重ねで大変ですし、イライラするくらいならしないほうがいいですので、飼育員さんには少々試練でもあります。
でもそれでも、動物にかかる負荷を減らした上で健康管理などができるということで、飼育員さんたちは奮闘しています♪
森さんも、可能な限り毎日行っているそうです♪飼育員さんの仕事はテンコ盛りで、「〇時~ハズトレ」と決めにくいですので、見学できたらラッキーという理解の上での応援をぜひお願いします♪
ターゲットに集中していますよ♪園館動物の大きな苦悩のひとつは「やることがない状況」ですので、その軽減にもハズトレは役立ちます。
上手にじっとしているところです。おかげで、「ニホンアナグマさんて胸の辺りも魅力的~♪」と観察もできました。
隣のお宅在住のダイフクくん(右)とカステラちゃん(左)も、ハズトレが始まっています♪
ダイフクくんは人が好きで寄ってきてしまうのでトレーニングしにくいそうですが、体重測定はできるようになっています♪
カステラちゃんは人に慣れていませんが、吻タッチはできています♪
ラブラブですが若くない2名ですので、ハズトレで負担の軽い健康管理ができるようになるといいですね♪
井の頭自然文化園へ行かれる方はぜひ、ニホンアナグマさんにも会って頂き、「ハズトレしているんだね~♪」と、飼育員さんとニホンアナグマさんたちの応援をよろしくお願いします♪
<井の頭自然文化園へ行こう!♪>
吉祥寺駅から歩いていけます(バスもあります)。園内にロッカーがないので、大きな荷物は駅のロッカーへ。
ニホンアナグマさんは動物園(本園)にいます♪水生物園(分園)のオオサンショウウオさんもお忘れなく♪
★開園日時 9:30~17時(チケットの販売や動物園・水生物園の入園は16時まで)
月曜日と年末年始(12/29-1/1)がお休み。
★アクセス情報は園のサイトで確認してください
<執筆後記>
ニホンアナグマさんは、多くの方が認識していないだけで、本当は大変に身近な里山のアイドルなのです♪ですが動物園でもアイドル扱いされることはなく、アナグマファンとして長らく悶々としておりました・・・・が、ついにハズトレをニホンアナグマさんに行う飼育員さんが現れました!(TT)しかも、井の頭自然文化園の広報(教育普及)さんも前にニホンアナグマさんを担当していた方ですので、井の頭によるアナグマ推しが来るかも?!(笑)まぁ、ブームの動物になってしまうと、あちこちの園館が欲しがってロクな展開にならないので、ブームにはならなくていいのですが、ニホンアナグマさんの魅力をお伝えできれば・・・と、力が入って似たような写真ばかりになりました(笑)。
私の写真スキルとは次元が違う、プロの動物カメラマンさんである福田幸広さんによる『アナグマはクマではありません』(東京書店)という超絶名著があります♪この中では、野生のニホンアナグマさんたちの魅力がこれでもかと炸裂していますので、ぜひそちらもご覧ください♪そしてアナグマファン度を深めて、井の頭自然文化園での取り組みにしびれていただきたいと思います♪
ニホンアナグマさんは日本各地の動物園で暮らしてくれていますので、まずはぜひお近くの動物園に会いに行ってみてください♪(少々古い情報にはなりますが、「近所の園にいるかも」と思って頂くために、以前に私がまとめた一覧表へのリンクを貼っておきます。)