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ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第18回 井の頭自然文化園 「ニホンアナグマさんのハズバンダリートレーニング」その1♪

​ 筆者がこよなく愛するニホンアナグマさん♪そのニホンアナグマさんにハズバンダリートレーニングを行なっているという情報を知り、さっそく井の頭自然文化園(東京都)へ取材に行ってきました♪「ハズバンダリートレーニング(略してハズトレ)」とは、動物たちに施設で暮らしてもらうにあたり必要なケアを行うためのトレーニング全般を指します。その中でも「受診動作」を目的として行うことも多いです。「受診動作」とは、私たちが健康診断を受けるのと同じことで、「体重測定・採血」などです。他にも、「歯磨き」や「簡単な治療」や「ストレス軽減」など様々なケアも行なえるようになります。ハズトレの一番の特徴は、「動物に強制するのではなく、動物が自分の意思でトレーニングに参加したくなるような状況を作り出して行う」という点です。ですので動物を押さえつけたりヒモでつないだり暴力を使ったりは決してしません。そのようなストレス下で測定した数値は、通常の数値とは言えないですし。あくまでも、「普段のケアや健康管理などを実践するために、動物に協力してもらう」という姿勢で行います♪そのことで、動物と人、双方の安全性も高まるのです。さらには飼育員さんと担当動物の関係性も良くなるそうです♪園館動物たちにとって、いい刺激にもなっていて(頭や体を動かしたり達成感があったり)、ハズトレが好きな動物も多いです♪園館動物たちは見方を変えれば会社や市民の資産でもあるので、そうした意味でも健康管理をすることは当然ではありますが、ハズトレは地道な取り組みの積み重ねにより可能となるものですので、取り組んでいる飼育員さんたちの評価と応援も必須です♪

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 こちらがニホンアナグマさんです♪本州・九州・四国の里山に暮らす、実は非常に身近な動物です。ちなみにクマさんの仲間ではなくイタチ科です。

 わたくしオススメの特徴は、「家族が仲良し」という点です♪

 「同じ穴のムジナ」とは、アナグマさんが掘った巣穴をタヌキさんなどが活用する様子からの言葉です(アナグマさんもタヌキさんも「ムジナ」と呼ばれることがあります)。

 ハズトレはバックヤード(寝室)で実施することが多いですが、構造的にこちらのニホンアナグマさん宅では無理だそうで、運動場で行っています。

​ 森さん(飼育員さん)がハズトレを始めたきっかけは、「健康管理をするのに、体重などが測定できると分かりやすく、指標になるから」と、「(動物の移動時に)捕獲する方法だと双方がケガをするし、怖がっているのが目に見えて分かったから」だそうです♪(ハズトレで「自分の意思でキャリーバッグに入る」ができるようになれば、捕獲しないで済みます。)

 基本動作の「吻(ふん)タッチ」です。鼻先(吻)で、「ターゲット」と呼ばれる目印(棒の先)に触れることを、トレーニングで覚えます。

 これにより、動物に来て欲しい場所や、向いてほしい方向を伝えて動いてもらうことができます。

​ ハズトレの方法は、上野動物園の飼育員さんが主宰する勉強会で学んだそうです。また、先輩や園長さんなどいろんな方々も教えてくださっています。

 飼育員さんの指示通りに動くと、「正解!」の合図の音が鳴り(笛やクリッカー)、ごほうびがもらえます。そうやって、飼育員さんが求める動きとそのサイン(合図)を理解・習得していきます。

 ごほうびは食べ物のことが多いですが、だからと言って食べ物につられて参加しているのではなく、楽しさや達成感があるから参加しているように思います。

 ハズトレは「褒めて伸ばす」という前向き方式ですし、飼育員さんがうれしそうなのも動物には伝わっています♪

 ちなみにこのニホンアナグマさんのごほうびは、イナゴさんやバナナや馬肉です。

​ 後ろに見えているのが体重計で、この日は7.5kgでした。

 ニホンアナグマさんのチャームポイントである、かわいい鼻でタッチするので、ますますかわいいです♪ハズトレは、来園者に見せるコンテンツとしても有用です♪飼育員さんの努力や仕事を見ることができますし、動物も行動や表情が出るので。また、「近くで動物が見たい」という来園者の気持ちに応える方法のひとつとしても活用できます。

​ このニホンアナグマさんはのみ込みが早いそうです。ハズトレ開始約半年で、「吻(ふん)タッチ」「体重測定」「体全体を見るための回転」「その場でじっとしている」ができるようになりました。

 ハズトレを見学すると、動物が「こうかな?」といろいろ考えたり、飼育員さんの様子を読み取りながら取り組んでいることが伝わってきます。

​ そのような様子を観察することで、動物の賢さや、達成感を味わう感性など、新しい気づきも生まれます。

 「この体勢でじっとしている」という練習中です。動かないことで、体の各所を確認できることにもつながります。

 ちなみにハズトレでは、動物がうまくできなくても叱りません。ごほうびをあげたり褒めたりを「しない」ことで、「今のは違うよ」と伝えます。そして、動物がもう一回トライする気持ちになるようにします。と同時に、しつこくもしません。

​ そうした前向きな気持ちや楽しい空気感づくりも、ハズトレの技術のひとつです。

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