ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第23回 西海国立公園九十九島水族館 海きらら 「飼育員さんの声」
~仕事について・取り組んでいること・これからしたいこと・学生さんへのメッセージ~
①イルカ班その1♪
私が日本一だと思う水族館「海きらら」の取材は、著作執筆時も含めると3回目になります。そこで今回は、飼育員さんたちの様々な想いを、「飼育員さんの声」という形でまとめてみました。「仕事について・取り組んでいること・これからしたいこと・(飼育員さん志望の)学生さんへのメッセージ」などの切り口で、いろんなお話を伺いました。そして今回、気づいたことがあります。今までお話を伺ってきた海きららの飼育員さんたちは(社長さんと館長さんも)、「ごまかそうとしない」のです。動物たちに施設で暮らしてもらうことで成り立つ仕事であることに真正面から向き合い、目の前の動物たちに全力で向き合い、その他のこの仕事に付随する諸々のことに誠実に向き合っています。何を質問してもごまかそうとしません。「ごまかす」という選択肢を持っていないと感じるまっすぐさです。この「ZOO AQUA STORY☆」でご紹介してきた、熱く仕事に取り組む(動物のことも人のことも)飼育員さんたちは何が違うのかと言えば、「自分のすべきことから目を背けない」のです★それは言い換えれば「ごまかそうとしない」ということでもあるのだなぁと♪そんな熱い飼育員さんたちの熱い想いを、ぜひ垣間見てくださいませ♪
(全6ページ/2018.8.22 up)
今回お話を伺ったのは、飼育員さんになって3年目の竹邊さんです(手前の方です)。
イルカ班は現在、平均年齢約23歳という若い飼育員さんたち5名と、信頼の篤い獣医さん1名というメンバーです。
若くても、前任の熱いベテラン飼育員さんたちから受け継いだスピリットとスキルを発揮していて、イルカさんたちのケアに余念がありません。
さらにはお話から深いお考えも伝わってきて、さすが人材の宝庫だと、感服しきりでした♪
海きららで暮らしてくれているイルカさんは、ハンドウイルカのニーハさんとナミさんです♪
「イルカさんと遊ぶことも重要な仕事」であると認識されている素晴らしい現場ですので、全力で遊びます♪
竹邊さんに「担当している動物に対する想い」を伺うと、「根本は、”楽しく元気に長生き”してほしいです。そのために、例えば自分が動物にとって不快な行動をしないようにしています。」とのこと♪自分の行動が動物に及ぼしてしまう影響まで考えて行動されているとは!♪
特に現在は、イルカさんが2名とも妊娠中ということで、許容範囲が少し狭まっているそうです。そうした繊細な変化も見逃さずに対応されています。
仕事に関しては、先輩方に相談できる状況で、きちんと教えてもらえるとのこと。大事なポイントだと思います♪
「飼育員さんに一番大事なことは何だと思いますか?」という質問に対しては、「観察できるかどうか」とのお答え。本当にそうだと思います。
竹邊さんはさらに、「”こうかも知れない”をたくさん持つことで変化に気づけます。ちょっとのことも見逃さないようにしています。そうできるようになるには年月がかかりますが、かけるしかないです。変化に敏感であるようにしています。」と教えて下さいました♪
写真の光景もそうですが、飼育員さんたちは、力と心を込めて遊ぶと同時に、真剣に観察しています♪
今回は、あえて突っ込んだ質問を皆さんにしています。全国の園館等動物施設において、飼育員さんの非正規雇用や安月給が問題になっていることを踏まえて、「なぜ安い給料でも前向きにがんばれるのか?」を伺いました。
竹邊さんのお答えは、「(動物が好き・イルカさんが好きを通りこして、海きららのイルカさんたちである)ニーハとナミが大好きだから」です♪その想いは、ニーハさん・ナミさんと向き合っている時の雰囲気や表情からも伝わってきます♪
もちろん、好きだからって安月給でいいわけではありませんので、園館内外全体で今後も取り組むべき課題です。飼育員さんは、非常に高度な専門職であるという認識が大事です♪
イルカさんのケア中♪イルカさんが安心してケアを受けられるよう、地道なトレーニングを積み重ねているので、イルカさんは穏やかにじっとしてくれています♪
こうした様々な取り組みを日々熱く実践している飼育員さんたちですが、「(イルカさんたちが)幸せになったと断言しにくい」と、あくまで自分たちに厳しく、感服しました。でも、海きららのイルカさんたちの選択肢は確実に増え続けていますので、幸福度がアップした可能性のほうが特大であると、私は考えています♪
さらに、職場というものは人間関係のあれこれが必ずあるものですが、竹邊さんいわく「人の問題をしている時間があったらイルカに使う!」とのこと、素敵で心強いです♪
竹邊さんの「これからしてみたいこと」は、「イルカさんからの発信」です♪
今は、飼育員さんが合図をしてイルカさんが動いたり、イルカさんの動きに飼育員さんが合わせたりしています。それを、「イルカさんのアクションで状況が変わる」にしたいと♪
例えば、イルカさんが遊んでいるオモチャや見ているテレビの内容を、「他のものに変えて」とイルカさんが飼育員さんに伝えられるようにしたいそうです♪なるほど!♪
その理由は「イルカさんが楽しいことを用意したい」から♪このお答えの際も、「楽しいことをやってあげたい・・・いえ、”やってあげたい”はおこがましいです」という、イルカさんへの敬愛炸裂ぶりにしびれました♪
最後に竹邊さんに「(飼育員さん志望の)学生さんへのメッセージ」を伺いました♪
「机上と現場は全然違うので、いろんな園館を見に行くといいです。ただ見に行くのではなく、どんなことをしているのかを見てくることをおすすめします。現場の人の空気とかも。例えば海外の園館の人は、オンオフの切り替えがすごいと感じました。」
これは私も本当におすすめします。就職後は休みが取りにくいので、学生のうちに!ということもあります。私が毎年のように海外の園館に取材に行って一番得ているもの・学んでいることは、「本気で園館を運営している」という、その「本気度」です。こうしたものは現場でこそさらに感じられるので、現場に行くのです♪
中央に写っているのが、以前からイルカ班でがんばっている佐藤さんです(その奮闘ぶりの記事はこちら)。
この時は、右側にある小プールへの移動のトレーニング中だったのですが、合図を出した後、イルカさんが移動するのを観察しつつ、「あ~がんばれ~♡」と思わず声が漏れていて、さすが佐藤さんだと感動しました♪