ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第5回-1 大牟田市動物園 「動物福祉向上の取り組みとその説明力」:
キリンさんのトレーニングと説明♪
大牟田市動物園は、2016年のエンリッチメント大賞を受賞しました!♪園館動物の生活を豊かにする取り組みに贈られる賞です(市民ZOOネットワーク主催)♪園長の椎原さんという、園改革の中心人物が、確固たる決意でそうした園づくりを何年も続けてこられた賜物です♪その結果として人材が育っていることもあり、受賞に際しては、組織を挙げての取り組みも評価されたそうです♪本当に、園内各所で動物福祉向上の取り組みを感じます♪
そして大事なのが「その説明」なのです♪たいがいの人が、「説明されなきゃ分からないけど、説明されれば分かる」のです♪そして、「説明」には、「誤解を理解に変える」力もあります♪「説明」でこそ、動物と園の理解者・支援者が増やせるのです♪
「動物福祉向上」と「説明」の両方に真正面から取り組み、そのことで園の魅力も存在意義も大増幅した、大牟田市動物園の紹介その2です♪ (全5ページ/2016.11.15 up)
まずはキリンさんのケアと説明の紹介♪担当の河野さんがキリンさんたちの様子を見に来たところです♪担当動物の様子を日に何度も確認することは、すごく大事で必要な仕事ですが、実際にできている飼育員さんはごく少数でしょう(人員不足などの理由もありますが)。
河野さんは、大変に熱心な飼育員さんです♪私にも情報を求めてくれる、数少ない飼育員さんの一人です♪
キリンさんのハズバンダリートレーニングも、イベントとして公開しています♪これがナイスアイデアで、イベント好きの来園者は多いので、集客と教育と満喫とがいっぺんに可能に♪
ハズトレは、動物に強制するのではなく協力してもらうようにトレーニングすることで、負担の少ない健康管理を可能にするものです♪(押さえつけるやり方や麻酔は、動物の心身に負担や危険を伴います)
写真は、キリンさんに首をだしてもらい、首に触っても大丈夫なようにしているところです♪キリンさんも繊細なので、急に触ると、驚いて走って壁に激突してしまうおそれがあります。根気強く少しずつトレーニングすることで、首に触れるようになり、採血による健康管理が可能になります♪
ハズトレでは、飼育員さんが望む動きを動物がしてくれた場合、ホイッスルを吹くなどして「そう、それだよ」と伝えるとともに、ごほうびも渡します。叱ったりイライラした態度で接したり、暴力や懲罰を使うなど、動物の精神に圧力をかけるような行為は、一切しません★「ほめて伸ばす」です♪
でも、何度ハズトレを見学しても思いますが、小さなごほうびのためではなく、飼育員さんがよろこんだり、自分もちょうどいいヒマつぶしになるのが楽しくて、トレーニングに参加しているようです♪飼育員さんも、そう思うそうです♪
大型動物は、足を傷めると命取りになります。なので、足に触られることを極端に嫌う場合もあります。しかしながらだからこそ、足のケアが可能になる必要があるのです。
地道な動作の積み重ねであるハズトレを行なえば、写真のように足に触れるようにもなります♪
トレーニングに参加するか否かも、動物に選択権があります♪ヒモでつなぎとめたりしておらず、イヤだったら自由に去れる状況で行ないます♪
ハズトレのさらなる効果として、動物と飼育員さんの関係が、深く良くなるそうです♪叱ったりぶったりなどイヤなことは決してしませんし、健康管理のためという目的も前向きですし、長い時間向き合うからでしょう♪
足に触れるので、ヒヅメのケアもできます♪野生とは違い、施設生活では十分に歩けないため、ヒヅメが伸びてしまうキリンさんもいます。そうした場合に、ハズトレを行なっていれば、ヒヅメをヤスリで削れるのです♪
伸びたヒヅメで変な歩き方を続けると、足を傷めて危険です。キリンさんのヒヅメは、本来はこの写真のように三角形です。
「大型動物の健康は足元から」という視点で、いろんな動物のヒヅメを確認してみてください♪
大牟田市動物園では、ハズトレの公開をイベント化して、来園者の関心を集めることに成功しています♪さらに、説明係を付けることで、行動の内容や意義も伝えています♪
大牟田方式と名付けたくなるこの素晴らしいやり方で、特に大人の来園者の関心を非常に引きつけていました♪
飼育員さんの仕事はもともと興味深いですし、解説でその意図も知れて面白いし、動物が近くでじっとしている機会でもあるし♪園館などで行なわれるショーの類はすべて、このハズトレ公開でいい!と言えるくらい、平日の昼間でも何十人もの大人と子どもを惹きつけていました♪
しかも、「動物福祉向上の取り組み」と「その説明」という、園館の根本的任務を楽しく実践しているのですし♪まさに、「動物と一緒に幸せ」のひとつの方法を知る機会です♪
ハズトレの説明係をしていた野田さんが、キリンさんの背後にまわって・・・なにをしているのでしょう?
正解は、体温測定です♪キリンさんのお尻に体温計をさして行うため、それに動じないトレーニングがすでに行われているのです♪背後にまわられてお尻に・・・なんて、イヤがるのが当然ですので、それを「イヤがらなくても大丈夫だ」とキリンさんに知ってもらう、ハズトレの賜物です♪
体温測定は健康管理の基本ですので、測りやすいように台が設置してあるのも素晴らしい工夫です♪
キリンさんは、食事に時間を費やす生態です。でも動物園では、すぐにごはんを食べきってしまい、「やることがない」という辛さを味わうことになります。
そこで、フィーダーという、「ごはん容器」をあちこちに設置したり、フィーダー自体を工夫して、「食べるのに工夫が必要な構造」にします♪
こうすることで、食事の時間をのばせますし、食べ物を得るために頭や体を使うことにもつながり、達成感を味わうことができます♪
その説明があることで、「ここの飼育員さんは、キリンさんの福祉向上のために努力をしているんだなぁ♪いい飼育員さんでよかった♪そのおかげでキリンさんのハッピー度もアップしてよかった♪」と、「一緒に幸せ」を実感することもできます♪
日本の動物園は、ほとんどが赤字で貧乏です。なのに、寄付の受け取りは、手間が面倒ということでイヤがる園が多いです。
しかしながら、さすが大牟田市動物園!自ら、木の葉の提供を呼び掛けています!♪
実際に提供した方は、自分のところの木の葉を、キリンさんと飼育員さんが喜んでくれて、思いがけずうれしく幸せなことでしょう♪
飼育員さんだからこそ、「動物と一緒に幸せ」の間を取り持って、実現することができるのです♪