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ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第26回 金沢動物園 「寝室を快適に
①ヒガシクロサイさんの寝室の工夫その1・部分的バイオベッド

 神奈川県横浜市の金沢動物園の、ヒガシクロサイさんとオカピさんの取り組みです♪第17回の記事でご紹介した、金沢動物園のインドサイさん宅の寝室は、全面的バイオベッドでした。効果てきめんの素晴らしい取り組みですが、見た目のインパクトがすごいこともあり、「真似できない」と感じてしまう飼育員さんもおられたかも・・・ということで、今回は「部分的バイオベッド」のご紹介です。園館動物さんたちが寝室で過ごす時間はかなり長いですので、寝室の快適度を上げることは非常に重要で有効です♪部分的バイオベッド+その他の取り組みを取材しましたので、ぜひ参考にしてください♪ (全5ページ/2019.3.19 up)

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 部分的バイオベッドを実践された、大浦さんです♪インドサイさんのバイオベッドを実現した先﨑さんに教わって、2017年から取り組みました。

​ 動物さんに良いものは、どんどん勉強・実践される点が本当に素敵です♪

 金沢動物園では現在2名のヒガシクロサイさんが暮らして下さっています♪

 写真のローラさん(30歳♀)と、ロンさん(30歳♂)です。ローラさんはなでてもらうことが好きです。

​ ヒガシクロサイさんは、本来はアフリカ中南部の山岳地・森林・茂みなどで暮らしている動物さんです。

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 部分的バイオベッドは、ローラさんの寝室に用意されています。ローラさんは乗って寝ています(全身、乗れます)♪足で散らすのも好きだそうです♪

 夜間は左の扉を開けて奥の部屋も使えるようにするため、扉のレールにワラなどが詰まらないよう、全面ではなく部分的バイオベッドにしました。

 インドサイさんと違いヒガシクロサイさんは足を痛めることもなく、暖かさの必要性もインドサイさんよりは低いため、部分的でも大丈夫です。

​ むしろ、暑い時はコンクリ床を使うという選択肢があるとも言えます。

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 寝室の反対側です。バイオベッドの占める割合が分かると思います。

 ヒガシクロサイさんのバイオベッドは、秋~春(4月頃)まで用意します。その後は撤去し(夏には暖かい寝床が不要な動物さんなので)、再度設置します。

​ 秋口と春にサシバエさんが出てくることが、管理上の難点です。インドサイさんの全面的バイオベッドには出ないので、解決の可能性もあります。

​ 最初、ワラなどを山にして発酵させたところ、びちょびちょになってしまい、あまり乗らなかったそうです。平べったくして圧をかけて水はけをしたところ、乗って寝るようになりました♪

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<部分的バイオベッドの作り方>

・材料:麦わら・稲わら・ルーサン・チモシー・食べ残した牧草(ルーサン・チモシー。食べ残しの野菜などは取り除く)・腐葉土(近くの山から)・米ぬかと油かす(発酵促進用)・土壌菌のかたまり(近くの竹林から)

・方法:上記材料に水をかける(発酵のため)・混ぜ込む(切り返す)

・厚みは最低40センチあるといいので、一気に用意するのがオススメ(薄いと発酵しない)

​・分解が進むと土になってきます

・掃除は、水で洗い流す必要がなく、うんこを拾うのみなので楽(排水に関しては下記も参照)

​・うんこの水分も吸うので、臭くなくなる(夜間、うんこと過ごさねばなので、良い効果)

​・外で見ているのはローラさんです♪

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​ バイオベッドは発酵により、暖かくなります♪

 少し掘り返すと、中は触って分かるほどに暖かいです。最高60度近くになるそうです。

 暖かいだけに、衛生面に注意が必要です。匂いなどにも注意していますが、菌やカビなどをモニタリングして、より高度な健康管理を行いたいと考えているところだそうです。

 こうしたデータを取ることで、「バイオベッドをオススメする説得力も増します」という点まで考えておられて、素敵です♪

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 サーモグラフィで温度を確認しています♪

 この日(2月中旬)の通路は17度でしたが、部分的バイオベッドの最も暖かい場所(表面を掘った中ほど)は、なんと48度でした。

​ これくらい高いと、寄生虫卵の死滅が期待できるそうです。

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 部分的バイオベッドの最下部です。濡れがちな部分にはグレーチング(側溝のフタ)を敷き、水の逃げ場を作ります。
 グレーチングにワラなどが詰まらないよう、透水性のある土のう袋をかけています。

 このグレーチングは、奥に設置してある角材との段差を埋めることにも役立っています。ヒガシクロサイさんが角材をコツコツと蹴るので、その対策です。

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 角材です。10センチの幅があります。扉(棒が並んでいるもの)のレールにワラや土などが挟まることを防ぎます。

 コンクリ床にアンカーを打って設置しますが、床がヒビ割れることはないそうです。

 その作業を飼育員さんが自分でされたことにもびっくりです。

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 ロンさん(♂)の寝室は全面的バイオベッドです。

 12月までは、夜間も左奥の運動場と行き来自由にし、外の地面(土)でも寝られるようにします。そのように扉が開いた状態での室内の保温は、暖房とカーテン(透明)で行います。

 男性のヒガシクロサイさんは、壁に向かってあちこちに頻繁におしっこをスプレー状にするため、一箇所に大量に排尿しないのでバイオベッドが水分過多になることはありません。そのため、最下部にグレーチングは不要です。

​ 全面の場合でも、日常作業として、うんこを拾って、切り返して、水分調整のための床材の追加をする程度で大丈夫です。

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 ロンさんは食事場所が決まっていて(壁沿いの中央)食べ残しがきれいに回収できます。食べ残しは乾いているので、水分の多いぐちゃぐちゃになった場所に撒き、適度な水分量に調整します。

 ルーサンの食べ残しは発酵にいいそうです。発酵が進まない時は米ぬかを撒きます。

 寝る場所とうんこをする場所もある程度決まっているので、掃除が楽とのことです。

​ 全面的バイオベッドも春に虫さんが出始めると撤去しますが、それまでずっと、上に乗って寝ているそうです。ヒガシクロサイさんたちが前向きに選ぶ選択肢となっていて、よかったです♪

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