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ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第27回 札幌市円山動物園 「本気のこれまでとこれから
②両生類爬虫類さんの福祉向上の取り組み・2「実際の動物宅例その1」♪
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 ここからは、実際の動物宅で取り組みをご紹介。あいうえお順で、まずはアオホソオオトカゲさん(右上にいます)。インドネシア・バタンタ島の熱帯雨林で暮らす樹上性のトカゲさんで、絶滅危惧種です。

 このお宅の裏側(バックヤード)は、気流を止めて暖かくしています。水槽内は湿度が必要なので、換気システムを止められるようにして、湿気がこもるようになっています。

 普段から雨季と「激しい雨季」が必要なので、降雨があります。夜間は、少し換気システムを回すのと同時に、降雨で湿度を維持。

 こうした取り組みにより、世界的にも状態のいいアオホソオオトカゲさんだそうです。ケルン動物園(ドイツ)で学んだことを活かして、繁殖にも成功しました。

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 アメリカドクトカゲさん。アメリカ南部からメキシコ北部の西側にある砂漠や乾燥地で暮らしている絶滅危惧種。

 「一生の9割以上を地下で過ごす」という生態と、来園者が観察できるようにすることを両立させるべく、お宅全体を乾燥させないで地下条件にしました(この時の湿度は52.1%)。

 また、アメリカドクトカゲさんの色は、鉄分が多くて赤い土に合わせたものなので、壁を赤くしています。

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 北海道の在来カエルさん2種である、エゾアカガエルさんとニホンアマガエルさんのお宅。

 水槽内での自生のハードルが高いシダが、自生するという環境づくりに成功しています。シダの中でも、日本の山のものが要求度が高いそうです。

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​ 同じくエゾアカガエルさんとニホンアマガエルさん宅では、生息地に生えている苔も自生しています。それだけ生息地に近い状況が再現できているということです。

​ カエルさんの快適さと美しさも増えていると思います。

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 エゾサンショウウオさん宅。北海道の固有種で、沼や沢の周辺で暮らしています。

 まだ生態が解明されておらず、円山動物園での観察により季節ごとの行動が把握され始めています。例えば、冬は陸上ではなく水中にいることも多いと、判明しました。

 このお宅もシダが自生するほどの生息地再現レベル。壁は断熱素材で、バックヤードは5度に設定し、冬はマイナス10度前後。こうした取り組みにより、水槽内で繁殖もしています。

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 コウヒロナガクビガメさん。オーストラリアの固有種で、川や沼に住んでいます。

 水中で過ごすことのほうが多いので、水中を重視。水温を12度前後にコントロールしています。

​ 底に敷いた砂にいるバクテリアさんたちが活躍して、浄化しています。

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 ジムグリさん。日本の森林・草原・平地にいます。

 お宅内では、草が枯れたり生えてきたりと、自然のサイクルを繰り返しています。

​ ちなみにお隣のアオダイショウさんやシマヘビさんは、植物を壊してしまうので、生えていないこともあります。だからと言ってやめるのではなく、「それでも植物が育つ環境を作る」と、本田さんは取り組んでいます。

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 ツギオミカドヤモリさん宅を、バックヤードから見たところ。1日4回、長いと10分間の降雨があり、雨季を再現しています。

​ ツギオミカドヤモリさんは、ニューカレドニア島とその周辺の島の固有種で、熱帯雨林に暮らしています。

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 ツギオミカドヤモリさん宅を正面から見たところ。植物が自生していることと、それが雨で濡れている点にしびれてください。

​ そしてツギオミカドヤモリさんも魅力的なので、静かにガン見を♪世界最大・最重量級のヤモリさんだそうです。

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 バックヤードで暮らしている皆さんにも、同様の取り組みを行なっています。

​ 温度管理・生態に合ったサイズの食べ物・乾電池で動くミスト装置・床材(砂)・隠れ場所などなど。

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