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ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第27回 札幌市円山動物園 「本気のこれまでとこれから
⑦アジアゾウさんの福祉向上の取り組み・1「運動場の工夫その1」♪
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 2019年3月12日にオープンした、アジアゾウさん宅です。広い運動場(写真)と広い室内で、ミャンマーから来てくれた4名のゾウさんが暮らしてくれています(詳しくは園のHPをご覧ください)。

 はじめに筆者のスタンスをお伝えしますと、当初はもちろん、「北海道にゾウさんて本当に大丈夫なの?!安易な集客目的なのでは?!」としか思えなかったです。

 この新居も、写真(ネット)で見ますと広いように見えないので疑惑は薄れず。

 が!動物専門員さん(飼育員さん)が東京での講演会にわざわざ来られた時に「あれ?そんな熱意が?」と思い、いざ現場に行ってみますと・・・運動場も室内も、写真で受ける印象よりずっと広いですし、施設にも海外の動物園で学んだことが活かされていますし、動物専門員さんたちの熱意が突き抜けていて、「これほどまでに本気な園こそ、ゾウさんに取り組んでほしい」とまで考えが変わりました。

​ という、新居と福祉向上の取り組みのご紹介です。まずは外の運動場から(取材日2019年4月16日。同年9月の様子は次項)。

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​ シーシュくん(11歳)です♪アジアゾウさんが小さく見えるほど、広い運動場です。

 砂は50cm敷いてあります。砂の種類は「海の河口の砂」です(海砂ではなく)。粒子がなるべく均等になるよう、0.5~0.6ミリで揃えています(水はけを良くするため)。砂敷きの下もそのまま地面なので、水はけはさらにいいです。

 こうした工夫の数々に、「海外での情報収集も続けている動物専門員さんたちがいる」という円山動物園の強みが活かされています。

 また、アジアゾウさんは斜面でも生活する生態なので、起伏をつけています。

​ シーシュくんが歩く様子を動画でご覧ください(↓)

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 足跡が残る運動場、いいですねぇ♪しかも、「いい運動場を作ったから、お客さんウケを狙ってゾウさんを出しっぱなしにしよう」というありがちな展開ではなく、室内にも自由に入れるようになっています。

 室内の男子部屋は見学できない構造ですが、「ゾウさんが常に丸見え」よりも、「ゾウさんの福祉向上を優先する」、「それをうれしく思う来園者を増やす」ことこそ、園館の任務(保全教育)です。

​ さらに動物専門員さんたちは、「ゾウさん館」だけではなく「ミャンマー館」にすることで保全の意義が高まると考えているので、「ミャンマーばりの緑化」もちゃんと考えています。今はオープン直後で茶色いですが、少しずつ緑化が進んで、ゾウさんたちの福祉向上にもつながる日がくると思います。楽しみですね!

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 運動場を横から見たところ。中央の扉を開閉することで、区切ったり全面が使えたりします。全面ですと、まぁまぁの距離を歩くことができます。ゾウさんは歩く動物さんですので。

 シーシュくんと女子チーム(3名)の状況などを考慮して、使い方を選んでいます。広く使えることを重視して、どちらかだけが運動場を使う場合もあるとのこと。

​ 区切る場合には、基本的には手前が女子チームの運動場で、プールもあります。中央に立っている擬木からはフィーダーが吊るされています。

​ その擬木の奥に見える、もう1枚の扉を開けると、ぐるっと歩くことが可能に。その活用でも変化をつけます。

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​ 区切った場合のシーシュくんの運動場にも、プールが用意されています。アジアゾウさんは水辺や水中が大好きな動物さんですが、シーシュくんもプールが大好きです。

​ しかも日陰になる時間帯があるので、猛暑時など、より涼めそうです。

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 こちらのひさしコーナーは、冬の降雪時に、雪が積もらない場所を確保する目的で設置されたものです。

 運動場の両端に用意されているので、区切った場合でもゾウさん全員分あります。

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 せっかく取材で入らせて頂きましたので、ゾウさん目線での光景をご紹介♪

 起伏の大きさを実感します。動物専門員さんの想いとしては重機で毎日形を変えて、ゾウさんたちの心身の健康度アップにつなげたいそうです。

​ 実際には人手が必要で”毎日”はまだ実現できていませんが、ゾウさんチームの動物専門員さんたちは激熱な方々が6名いるところに新人さんも増えて、体制としても本気度が高まりましたので、徐々に取り組みが増えることでしょう。

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 ゾウさんの足跡です♪実物を目の当たりにしながら「砂に足跡が付くお宅なんだなぁ」と思いますと、うれしさと、日本の園がここまでくるのに時間がかかったなぁ等、いろいろな想いで胸がいっぱいになります。

​ ちなみに、掃除はうんこを拾うだけ。高圧洗浄が必要なコンクリ床より、動物専門員さん(飼育員さん)の福祉向上にもなるんです。

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​ 全面使える場合の距離感です。足跡がいっぱいですね。

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 扉のレールです。吊り上げ式なので、砂があっても閉まります。海外で学んだ手法だそうです。

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 運動場と室内の間に用意されたこの空間は、「降雪時でも外の空気が吸える」ためのものです。ヒーターと床暖房も付いています。

​ 引き続き、運動場(追加取材分)・室内・ケア・活用・説明についてご紹介します。

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