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ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第27回 札幌市円山動物園 「本気のこれまでとこれから
⑪アジアゾウさんの福祉向上の取り組み・5「ケアの数々♪その2・左側の部屋」♪
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 このページでは、お客さんが室内から見て左側にある部屋での選択肢増設についてご紹介します。現在は主にシーシュくんが使っています。

 お客さんからは見えない位置にあります。人目に触れることは疲れやストレスにつながる場合もありますので、「見られない場所」の用意は必須です。

 そして動物専門員さんたちは、見える・見えないに全く関係なく、シーシュくんが日中も夜もたいくつせずに楽しく快適に過ごせるよう、全力を尽くしています。

​ 写真は、穴を掘って食べ物を埋める工夫に取り組んでいる様子です。なかなかの力仕事ですが、小林さんが奮闘しています(動画は↓)。こうした取り組みを朝と夕方の2度行なっています(日中用と夜間用)。

 この深さの穴を掘ることはラクではありませんが、シーシュくんの楽しさを想い、動物専門員さんたちも楽しそうです。

​ これだけ深くてもゾウさんはリンゴの香りですぐに気づき、パワフルに掘り出します。すごいですね!

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 リンゴを簡単に掘り出せてしまうと、わくわくしたり体を動かす時間も短くなってしまうため、埋めた上に枝も乗せます。

 枝と言っても人類にはなかなかの大きさ・重さのものです。それでもやはり動物専門員さんたちは、どう設置したらゾウさんの体と心と頭が動く時間が長くなるかを考えて、シーシュくんとの知恵比べ・パワー比べを楽しんでいます(動画は↓)。

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​ もはや一人では動かせないサイズの丸太もあります。それでも写真がブレるほど体を動かし続ける小林さんのお仕事ぶりに、同じ40代として感服しきりの筆者でした。

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​ 小林さん、今度はさらに大きな丸太の下を掘って、食べ物を隠す取り組みに励んでおられます。

 見ているだけで腰が痛くなりそうですが、そうした愚痴を一切言わず、静かに痩せていく小林さんです。

 増員は、全国の園館の現場において喫緊の課題です。

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​ 野村さんが、丸太の上にも食べ物を置きます。枝で少し隠してあるので、シーシュくんがこまやかに楽しめそうです。

​ ゾウさんたちがこうした工夫を活用する様子は、次頁でご紹介します。

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 10歳とは言えさすがオスのゾウさん用、丸太が大きい!

​ このサイズでも動物専門員さんたちが動かして、下にリンゴなどを隠します。

​ ゾウさん班の動物専門員さんたちは、その時々の最善策を常に考え続けて行動する方たちなので、安心して応援してください♪

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​ ゾウさん宅の裏には、たくさんの丸太が♪業者さんが園内の間伐などを行なった際に、もらうようにしています。

​ 動物専門員さんはこれを運ぶ重機の操作などもできる必要があり、本当に多くの技術が必要とされる専門職です。

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​ 食べ物を埋めた上に、ほぼ自分サイズの丸太を立てて設置する野村さん。

 シーシュくん、楽しみがいがありそうです。

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 完成に近づいた、シーシュくんの部屋。ぜひ一度、「もし自分がこの光景を作り出すとしたら?」と、想像してみてください。

​ どんなふうに設置したら、シーシュくんはより楽しいでしょうか?あまり難しくしすぎるとイライラにつながるかも?そんなことを考えるのも楽しくて、枝の重さを4割減に感じるかもです。

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 壁の穴はフィーダーです。食べ物をゲットするのに工夫を必要とすることで、採食時間を本来の生態に近づけたり(ゾウさんは17時間前後)、飽きないようにするためのものです。

​ そのフィーダーに、草食動物さん用のドライフードを設置します。

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​ 引き続きドライフードを部屋のあちこちに設置したり撒いたりして、「探す→ゲットする」楽しさを用意します。

 朝にはすっかりなくなっているそうです。

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 ニンジンなども各所に設置。なんせ園館動物さんたちが寝室で過ごす時間は長いですので。閉園から開園まで何時間あるか、ぜひ数えてみてください。

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 すごいサイズのフィーダーを笑顔で運ぶ野村さんと、後ろは吉田さんです。

 今回取材させて頂いた両生類爬虫類さん・猛禽類さん・オランウータンさん等を担当する班も、このゾウさん班も、何がたまげたって、若手育成のすごさです。

 園館活性コンサルタントである筆者への相談として、最も多い内容のひとつが人材育成ですので、こんなにも若手の皆さんがキラッキラの生っき生きに活躍されている光景は、衝撃的です。

​ 職場で誰かを育てるという最難関に近い仕事にも、本田さんや小林さんなどの先輩陣が、本当の本気で取り組んでこられたのだなぁと、感服するばかりでした♪

​ もちろんそのお話も伺いましたので1つご紹介しますと、「若手が成功体験を積めるようにする」ということも重視されているそうです。あとはやはり、先輩陣の仕事ぶりのすごさも、あると思います。

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 様々なタイプのフィーダーを設置(写真は吉田さん)。こうした工夫や配慮の多い空間で、長い夜と昼間を過ごすゾウさんのことを、ぜひ想像してみてください。「辛そう・かわいそう・心配」より「よかった♪」という想いのほうが多いと思います。

​ 日本中のゾウさんたちや園館動物さんたちが、そんなふうに思える夜と日中と毎日と一生を過ごせるように、応援できるのは園館外にいる私たちです♪

 ゾウさん班リーダーの小林さんがおっしゃっていたこと。「東京オリンピックのマラソンは暑さ対策で早朝に走りますよね。なぜなら、オリンピックは誰のための場で誰が主役かって、選手だからです。他の人は、それに対応することも楽しむといいと思うんです。そしてそれは園館も同じです。」

 つまり、園館の主役は動物さんたちなので、「たとえ見えなくなっても寝室ですごせるようにする」など、動物本位で考えて行動する。お客さんはそれも含めて楽しみ、評価をする。

 そういう幸せの循環こそが、人間側(お客さん・スタッフさん・組織など)にも大きな利益をもたらしますので、ぜひそういう視点で園館を楽しんだり応援してみてください♪

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 ケアの基本のひとつはお掃除ですので、シーシュくんの運動場をお掃除する様子を最後に。若手の相田さんが掃き掃除中です。

 アジアゾウさんに必要な、自然物の地面・斜面・広さなども伝わってきます。こうした環境整備は今後ますます広まることが期待されます。

 園館等動物施設の魅力と任務(保全教育)は、動物さんたち+人間側による努力(ケア・環境整備・発信など)が生み出す「動物さんとの幸せ共有体験」です。

 札幌市円山動物園のゾウさん班の皆さんによる日々のケアと環境整備にも、ぜひ注目してみてください。

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