ZOO AQUA STORY☆ by つまき♪
第15回 海きらら 「動物福祉向上の取り組み」④お魚さんの環境づくり♪
園館動物たちが毎日と一生を過ごす環境を改善し続けることは、動物福祉向上の基盤となるものです。
海きららの魚類班は、「砂のない海はない」ということで、全ての水槽に砂を用意。水流を工夫するなどして、衛生状態の維持にも努めています。
リーダーさん曰く「動物福祉向上の意識の徹底はできている」とのこと♪
生き物たちの休憩場所を用意しつつ、自然を再現することに対してはゆるぎない想いがあります。
月に2~3回行うフィールド調査で海中の様子を観察・確認し、水槽内での再現につなげます。
海きららは、地元・九十九島湾と周辺の自然に特化している、非常に意義深い調査・教育施設でもあります。飼育員さんたちは、地元の海のエキスパートでもあるのです。
写真は、海きららの大御所・タマカイさんです♪
本来の海に当然ある、もうひとつのもの=海藻にも力を入れています♪
光と流れがあれば水槽内でも海藻は生きられますが、非常に難しい面もあります。
自然界でも減っているため、タネから育てています。敷地内の実験水槽でも育成に挑戦。恩返しとして海に戻す取り組みも行っています。
さらに、冬から春にかけて潜水調査を行い、戻した海藻がお魚さんにどれくらい食べられているかなどを測定。
こうした「現場を知る・再現する」努力が、海きららの生き物たちの福祉向上に役立っています♪
大水槽内の擬岩は、なんと九十九島の海中で型を取って再現!日光も入るので自然に近い感じで、お魚さんたちだけでなく私たち来館者にとっても、大変に魅力的です♪
しかも、野生のアオサギさんによる捕食まで自然そのまま!お魚さんにとって、当然ある刺激でもあります。ボ~っと過ごせばいいものでもないのです。命の攻防に見る、双方の能力の高さに感服するなど教育効果も非常に高く、アオちゃん(愛称)は海きらら名物となっています。
また、大事な要素である水温は、どのお魚さんにもよい温度にしてあります。潜水して掃除などをする飼育員さんには寒い温度だそうですが、もちろんお魚さん優先です。
お魚さんの密度も、住む環境も、自然界に近づけたいと考えています♪そうした動物本位の取り組みを評価・応援できる来館者になりたいですね♪
こうした取り組みの効果で、ここのお魚さんたちは長生きだそうです♪
大水槽には浅い場所もあり、お魚さんたちは好きな場所を選んでよく移動しているそうです。選択肢があることは動物福祉向上の基本です♪
お魚さんがこの場所にいると、寄生虫の確認もしやすいそうです。
そして大事な水質ですが、海きららの濾過槽は非常に大きいため、循環水でも大丈夫だそうです。
さらに、掃除の際に塩素は使用せず、メラニンスポンジでゴシゴシこすっています!♪
淡水の水槽も自然モリモリ♪ギンブナさんは、表面に生えているものをつついて取って、その下にあるものを食べているそうです。
魚類班の飼育員さんも、何を聞いても即答かつ詳細で、普段いかにすべての生き物を熱く観察しているかが伝わってきます♪
施設内で暮らしてくれている生き物たちの福祉を向上させるには、日々の詳細な観察が出発点となります。
ギンブナさんと同じ水槽在住のチチブさんは、右の石の下にお宅があります。
それだけでも本来の暮らしに近いですが、その中を掃除する生態もいかんなく発揮しています♪
ギンブナさんがちぎったものが入ってくるので(笑)、せっせと外に運び出したり。断捨離の師匠のような働きなので、「チチブ先生」と呼ばせて頂くことにしました♪
カブトガニさんは、砂に潜って過ごすことも本来の暮らしです。ということで、砂を20センチ敷いて、潜れるようにしました♪
さらに、潜りやすいように、こまかい砂をチョイス♪
この水槽でカブトガニさんがもし全員潜っていたら、それは「カブトガニさんたちが見えない」のではなく、「カブトガニさんたちが本来の日々を送れている」と、しびれるチャンスです♪
「黒島のサンゴ」水槽は、擬岩のボコボコがポイント♪サンゴさんも定着しやすいですし、お魚さんたちの隠れ家にもなっています♪
閉館後は、お魚さんたち全員が隠れて休んでいることもあるそうですよ♪全員分の隠れ場所があるとは!
さらに、左下に見える穴も、なかなか見かけない規模ですが、どのように活用されているかというと・・・
やっぱり人気スポットになっています♪他にもいろんなお魚さんが来ていましたよ♪
これだけの空間ですと、安心感も大きそうです。
クモギンポさんのお宅にも、居場所が用意されています♪活用している様子がまた魅力的で、興味がわきます。
魚類班の飼育員さんたちは、お魚さんたちのお宅に関する会議を毎月実施。水槽をすべて動画に撮り、改善点を皆で共有して話し合うそうです!
ブレスト形式で活発な議論を目指し、厳しい意見が出ることも。それをどう反映したかを、次の会議で発表することで、前進し続けています♪
飼育員さんたちがこのような努力をして下さっていると、お魚さんたちも海きららで暮らす甲斐がありそうですね♪
アカボシヤドカリさんのお宅には、引っ越し用の貝(右の白いの)が用意されています♪
入っている貝を引越すとき、自身はひとまわり大きくなっているそうです。そこから推測して、そのヤドカリさんが好きそうな間口の貝が分かるとのことで、びっくり!
日々の観察と研究の賜物ですね♪
ちなみにアカボシヤドカリさんのチャームポイントは、目の上に1本立っているマツゲみたいな感覚毛♡そう教わると、ますます関心が高まります♪
魚類班の飼育員さんたちも、生き物に対する愛情と尊敬の想いがハンパなく熱くて、本当に素敵です♪